その時、停車場に電車がやって来た。
女の人はかさをたたんで乗車した。
グーは「グーグー グーグー」と歌いながら電車を見送った。

女の人は窓の外の遠くなって行くグーをぼんやり眺めていた。
「もしかすると、今わたしが辛いと思っていることは大したことじゃないのかもしれない」

彼女はいつのまにか眠っていた。
会社がある駅に電車が着いても、目を覚まさなかった。

夢の中で思った。
「1日くらい仕事を休んでも大したことはない。
先のことは考えないことにしよう」
彼女は気持ちよく眠りつづけた

いつのまにか雨はやんで朝の光が街を照らしていた。
グーは雨に洗われて、澄み切った空を去って行った。

電車の中でめざめた彼女は、自分が自由であることに、初めて気付いた。
「今まで、私の自由を奪っていたのは、私だったのかもしれない」

彼女は次の駅で下車して、好きな方向へ歩き始めた。

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