i-146 母の声 急いで行けば窓の月 終末期の頃、母が呼べばすぐに行っていた。そうしないと危険なことがあったからだ。 その夜も母に呼ばれ、あわてて行くと、「月が綺麗なので、教えてあげたかったの」と言って母は謝った。 母が死ねば一緒に月を眺めることはなくなる。そう思うと無性に寂しくなった。